宇宙線の鉄・ニッケル成分の最高エネルギー領域に至るスペクトルを測定
記事公開日:2022.04.18
ISSで5年間以上の定常観測を継続しているカロリメータ型検出器CALETは、核子あたり10ギガ電子ボルトから2.0テラ電子ボルトの広いエネルギー領域で、宇宙線中の鉄成分のスペクトルの高精度直接観測を行い、テラ電子ボルト領域に至るまでスペクトルの冪(べき)は-2.60で一定であることを測定しました。さらに、宇宙線中のニッケル成分についても、核子あたり8.8ギガ電子ボルトから240ギガ電子ボルトの領域で観測を行い、鉄成分と同様にスペクトルの冪(べき)は-2.51で一定であることがわかりました。今回の結果は、より軽い原子核のスペクトルに一般的に見られているスペクトルの硬化が存在しないことを示しており、今まさに活発に議論されている銀河宇宙線の加速・伝播機構のモデル検証のために重要な情報を提供するものです。これまでの観測結果との比較を含めて、研究コミュニティへ速報する意義があると判断され、鉄成分の結果は2021年6月14日に、ニッケル成分は2022年4月1日に、それぞれ国際学術雑誌『Physical Review Letters』誌に掲載されました。
早稲田大学リリース
https://www.waseda.jp/top/news/79755
JAXAリリース
https://humans-in-space.jaxa.jp/kibouser/pickout/73228.html
- 雑誌名:Physical Review Letters 126, 241101, 2021
- 論文名:Measurement of the Iron Spectrum in Cosmic Rays from 10 GeV/n to 2.0 TeV/n with the Calorimetric Electron Telescope on the International Space Station
- 著者名:O. Adriani et al. (CALET Collaboration), corresponding Authors: Yosui Akaike, Caterina Checchia and Francesco Stolzi
- DOI: 10.1103/PhysRevLett.126.241101
- 紙面掲載:Volume 126, Issue 24, 14 June 2021
- 雑誌名:Physical Review Letters 128, 131103, 2022
- 論文名:Direct Measurement of the Nickel Spectrum in Cosmic Rays in the Energy Range from 8.8 GeV/n to 240 GeV/n with CALET on the International Space Station
- 著者名:O. Adriani et al. (CALET Collaboration), corresponding Authors: Yosui Akaike, Gabriele Bigongiari, Caterina Checchia and Francesco Stolzi
- DOI: 10.1103/PhysRevLett.128.131103
紙面掲載:Volume 128, Issue 13, 1 April 2022